2. 時間管理は、予定を管理することではない

――人生の目標から「使う時間」を上から決めるという考え方

第1回では、
毎日やることに追われているのに、
人生の目標に近づいている実感が持てない理由について整理しました。


問題は、
頑張り方や努力の量ではなく、
整理されていない状態のまま整頓しようとしていること
にある、という話でした。


では、
やらなくていいものを整理したあと、
次に必要になるのは何でしょうか。


多くの場合、
そこで人は「時間管理」を考え始めます。

カレンダーを見直したり、
予定を詰め直したり、
空いている時間を探したり。


ただ、ここで一度、
立ち止まって考えてみたいことがあります。


この記事で扱うのは、
どう予定を管理するかではありません。

なぜ、その時間を使うのか
という問いです。



なぜ「予定管理」だけでは苦しくなるのか


時間管理という言葉から、
多くの人が思い浮かべるのは、
予定表やカレンダーだと思います。


いつ、何をやるか。
どこに空きがあるか。
どうすれば効率よく詰め込めるか。


この考え方自体は、
自然なものですし、
間違いでもありません。


ただ、予定管理だけで進めていくと、
次のような状態になりやすい。


  • 予定は埋まっている
  • 手も動いている
  • でも、納得感がない

予定は管理できているのに、
「この時間の使い方でいいのだろうか」
という違和感が残る。


これは、
予定管理が悪いからではありません。

予定管理には、扱えない領域がある
というだけの話です。



優先順位をつけても、また迷ってしまう理由


予定管理がうまくいかないと感じると、
次に試されやすいのが
「優先順位をつける」という方法です。


  • 重要なものからやろう
  • 緊急度で並べ替えよう

こうした工夫をした経験は、
多くの人にあると思います。


ただ、私の経験では、
これも長くは続きませんでした。


なぜなら、
優先順位は、同列のものの並び替え
だからです。


上に置く基準そのものが曖昧なままだと、
新しいタスクが入るたびに、
また判断が揺れます。


ここで起きているのは、
意思の弱さではありません。

判断の基準が、上にない
という構造の問題です。



セマンティック・ツリーという考え方


ここで登場するのが、
セマンティック・ツリーという考え方です。


セマンティック・ツリーは、
知識や判断を意味の階層構造として捉える考え方です。


特定の誰かの手法ではなく、
人間の理解の仕方を整理したものだと、
私は捉えています。


少し難しそうに聞こえるかもしれませんが、
イメージはとてもシンプルです。


セマンティック・ツリーは、
知識や判断を一本の木として捉える
という発想に近いものです。


木には、幹があります。
これは、その分野で最も重要な原理や価値です。


幹からは、太い枝が伸びます。
仕事、学習、研究といった
主要なテーマや役割にあたります。


そして、枝の先に葉がつきます。
日々のタスクや、具体的な作業、
細かな知識です。


多くの場合、
私たちはこの「葉」から考え始めてしまいます。


しかし、
幹が弱ければ、
どれだけ葉を増やしても、
木全体は安定しません。


セマンティック・ツリーとは、
葉を増やす前に、
幹と枝を確認するための考え方
だと、私は考えています。



イーロン・マスクの例


この考え方の分かりやすい例として、
よく挙げられるのが
イーロン・マスクの思考法です。


彼は、
「今、何をやるか」よりも先に、
「何を実現したいのか」
「その意味は何か」
を考えることで知られています。


ここで大切なのは、
彼が特別だから真似すべき、
という話ではありません。


意味から考えるという構造が、
実際に機能している例

として捉える、という位置づけです。



タイムボクシングは「上から決めた後」に使う


セマンティック・ツリーで
「何を残すか」を考えたあと、
ようやく時間の話に入ります。


ここで扱うのが、
タイムボクシングという考え方です。


一般的にタイムボクシングは、
タスクごとに固定の時間枠(ボックス)を設定し、
その時間内に集中して完了させる

時間管理手法として知られています。


ここでは、その考え方を少し引き上げて、
意味や役割の単位で時間を確保する
という文脈で捉えています。


空いた時間にタスクを詰めるのではなく、
先に「時間の箱」を置く。


その箱は、
細かな作業ではなく、


  • 学習
  • 思考
  • 仕事
  • 休息

といった、
上位の意味や役割に対して用意します。


これは、
生産性を上げるためのテクニック
というよりも、


上で決めたことを、
現実の時間に反映させるための考え方

だと、私は捉えています。




ここまで、
セマンティック・ツリーとタイムボクシングを
それぞれ見てきました。


ここで一度、
この二つの考え方が
どのように関係しているのかを、
全体像として整理してみます。


次の図は、
この記事で扱ってきた考え方を
一枚にまとめたものです。



※ この図は、予定管理の違和感から出発し、セマンティック・ツリーで「意味」を整理し、タイムボクシングで「時間」を与えるまでの流れをまとめたものです。



セマンティック・ツリーとタイムボクシングの関係


このように整理すると、
時間管理の順番が見えてきます。


まず、
セマンティック・ツリーで
「何を残すのか」「何を大切にするのか」を決める。


その上で、
タイムボクシングによって
それらに時間を与える。


予定を埋める前に、
意味と構造を整える。


この記事で伝えたかったのは、
この順番です。



まとめ:まだ「管理」しなくていい


ここまで読んで、
「すべてを決めなければいけない」
と感じる必要はありません。


この段階で必要なのは、
完璧な設計ではなく、


  • 何を上に置きたいのか
  • どんな時間を大切にしたいのか

を、
一度考えてみることです。


次回は、
この考え方を
日常の中で無理なく回すための
仕組みについて扱います。


GTDと、
私が使っているThingsというアプリを例に、
「考えなくても回る状態」を
どう作っているのかを整理します。


焦らなくて構いません。
一つずつ、順番に進めていきましょう。

國重公秀

飲食業界で31年、現場から役員までを経験し、売上16億円から300億円への企業成長を牽引。現在はその経営視点と最新技術を掛け合わせ、「AI×Notion」に特化した生成AIコンサルタントとして活動しています。

中小企業や飲食店オーナー様の業務自動化と収益化を支援しつつ、自身も「1日3時間の労働で安定収益を上げる」ライフスタイルを実践中。

(James Skinner氏に師事(AI Super Human)/プロンプトスクール飛翔 元公認管理人/東大「AI経営講座」修了・生成AIパスポート 他)

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