1. 忙しいのに前に進んでいないと感じる理由
――時間管理の前に立ち止まるべき視点
※ このテーマは、
第1回「整理する」
第2回「意味と時間を決める」
第3回「判断を仕組みに預ける」
という3回構成で書いています。順番に読まなくても構いません。
今の自分に必要な回だけ拾ってください。
毎日、やることに追われていました。
予定は埋まっていて、手も動かしている。
それでも当時の私は、
「人生の目標に近づいている感じがしない」
そんな違和感を、どこかで抱えていました。
今振り返ると、
これは特別な失敗でも、能力の問題でもありません。
むしろ、
多くの人が一度は経験する、ごく自然な状態
だと考えています。
やるべきことに真面目に向き合い、
一生懸命こなそうとしているからこそ、
起きやすい感覚でもあります。
この記事では、
時間管理のテクニックに入る前に、
まず立ち止まって整理しておきたい前提について書きます。
やることが多すぎる状態は、異常ではない
現代は、
「やるべきこと」「やった方がよいこと」が
簡単に増えていく環境です。
特に、AIを学んでいる人ほど、
その感覚は強いかもしれません。
新しいモデル、ツール、活用事例。
少し目を離すだけで、
次々に「知っておいた方がよさそうな情報」が現れます。
学ぶ意欲があるからこそ、
- 追いつかなければならない気がする
- 休むと置いていかれそうに感じる
- 時間がいくらあっても足りない
そんな感覚を抱きやすくなります。
その結果、
- タスクは増え続ける
- 常に忙しい
- それでも達成感が薄い
という状態に陥りやすくなります。
ここで大切なのは、
これは個人の能力や意志の弱さではない
という点です。
学ぶ対象が多く、変化の速い環境に身を置いていれば、
誰にでも起こり得る、ごく自然な状態です。
問題は「頑張り方」ではない
忙しさを感じたとき、
多くの人はこう考えます。
- もっと効率よくやろう
- 管理の仕方を工夫しよう
- 優先順位をつけ直そう
これは自然な反応ですし、
間違いでもありません。
ただし、
ここで行われているのは
やり方の改善に過ぎないことが多い。
問題は、
頑張りが足りないことではなく、
構造が整理されていないことにあります。
整理と整頓は、似ているようで違う
ここで、一度言葉を分けて考えます。
整理とは、
要るものと要らないものを区別し、
要らないものを手放すことです。
整頓とは、
残したものを、
使いやすい形に並べることです。
たとえば、
- あいうえお順に並べる
- 使う頻度で並べる
こうした工夫は整頓です。
一方で、
- これは本当に必要なのか
- 今の人生で扱うべきものなのか
と判断して手放すのが整理です。
この二つは、
順番を間違えると効果が出ません。
多くの人は「整理を飛ばして」整頓している
やることが多いと感じたとき、
私自身もそうでしたが、
- とりあえずリスト化する
- 並べ替えて見やすくする
という行動に走りがちです。
しかし、
要るかどうか分からない作業を
抱えたまま整頓しても、
負担はほとんど減りません。
これは例えるなら、
不要な書類が大量にある机を、
並び順だけ工夫して片づけようとする状態
です。
見た目は整っても、
根本の重さは変わらない。
人生のゴールと、日々の作業がつながっていない
もう一つ、
違和感の正体になりやすいのが、
人生の方向性と日々の作業の断絶です。
- なぜ、この作業をしているのか
- 何に向かって時間を使っているのか
この問いに答えられないまま、
タスクだけが増えていく。
すると、
- 忙しい
- しかし前に進んでいる実感がない
という感覚が生まれます。
これは怠けているからではなく、
整理されていない状態が続いている
だけだと、私は考えています。
ここまでの整理
ここまでの話を振り返ると、
問題は「どうやって効率よくこなすか」ではない、
というところまで来ました。
やることが多いのに前に進んでいない感覚は、
多くの場合、
整理されていない状態のまま整頓しようとしていること
から生まれます。
文章だけだと、
少し抽象的に感じるかもしれません。
ここで一度、
ここまでの流れを
視覚的にまとめたものを見てみます。
※ この図は、この記事で扱っている「違和感 → 誤解 → 核心 → 結論」をまとめたものです。
時間管理の前に必要なのは「選別」
この図を見ていただくと分かるように、
問題は「タスクが多いこと」そのものではありません。
多くの人は、
要るかどうか分からないものを抱えたまま、
並べ方や順番を工夫しようとします。
つまり、
整理を飛ばして、整頓から始めてしまっている
という状態です。
だから、
どれだけ頑張っても、
どれだけ効率化しても、
「前に進んでいる感じ」が得られにくい。
ここでようやく、
時間管理の前に必要なものが何か、
はっきりしてきます。
まとめ:まだ効率化しなくていい
この段階で、
- 高度な時間管理術
- タスク管理アプリ
を探す必要はありません。
まずは、
- 自分は何を抱えすぎているのか
- それは本当に、今の人生で必要なのか
この問いを、
静かに持つだけで十分です。
次回は、
「何を残すか」を決めるための考え方として、
- セマンティック・ツリー
- タイムボクシング
という視点を扱います。
無理に行動を変えなくても構いません。
まずは、自分の状態を正しく理解するところからで大丈夫です。