途中を生きているパブロとブルーノ
―― 完成していない時間の価値について
何かを学び始めたとき、
「これで合っているのか分からない」
「成果が出る前に、時間だけが過ぎていく」
そんな感覚を覚えることがあります。
AIを触り始めたときも、
Notionに記録を溜め始めたときも、
多くの場合、すぐに答えは返ってきません。
この記事では、
「パブロとブルーノの物語」を、完成ではなく“途中”の視点で捉え直すことで、
この“答えが出ない時間”をどう扱えばいいのかを整理します。
二人は、どちらも間違っていなかった
パブロとブルーノは、
同じ村で、同じ仕事をしていました。
水を運び、
働いた分だけ報酬を得る。
ブルーノは、その仕事に真剣でした。
生活を守るため、
今できることを全力でやっていました。
パブロも怠けていたわけではありません。
彼も同じようにバケツを運び、
同じように疲れていました。
違いは、
「余った時間を、どう使ったか」だけでした。
ブルーノが選んだ「今を支える時間」
ブルーノの選択は、
とても分かりやすいものでした。
- 働けば、すぐに成果が出る
- 収入が増えたことが、目に見えて分かる
- 周囲からも評価される
成果がすぐに見えることは、不安を抑えてくれます。
生活が安定し、
「自分は間違っていない」と感じやすくなります。
また、
周囲から評価される働き方は、自分を正しく感じさせてくれる
という側面もあります。
短期的に報われる構造は、
決して軽視されるものではありません。
短期的な安心には、確かな価値があります。
KUNISHIGE Labの視点では、
このブルーノの時間を
誤りとして切り捨てることはしません。
パブロが使ったのは、「未来に回す時間」
一方でパブロは、
働きながら考えていました。
「この仕事を、ずっと続けられるだろうか」
「もう少し、体に頼らない形はないだろうか」
そして、
パイプラインという発想に行き着きます。
ただし重要なのは、
その瞬間に人生が変わったわけではないという点です。
- 収入はすぐには増えない
- 体は相変わらず疲れる
- 周囲からは意味が分からない
完成していないパイプラインは、
外から見れば
「何も生み出していないもの」に見えました。
それでもパブロは、
夜や週末に、少しずつ手を動かします。
それは、
「今の自分を楽にする行為」ではなく、
「未来の自分を助ける行為」でした。
余力の有無が、選択を分ける
この二人の違いは、
能力や意志の強さではありません。
- 今を支えることで精一杯の時期
- 少し先を考える余白が生まれる時期
人には、
そうした状態の違いがあります。
余力がない状態で
「将来のために仕組みを作れ」と言われても、
それは現実的ではありません。
ブルーノは、
その時点でできる、最も現実的な選択をしていました。
パブロは、
ほんの少しだけ
未来に時間を回せる状態にあった。
それだけの違いでした。
違いを生んだのは、「少量のずれ」
二人の差は、
劇的な決断から生まれたわけではありません。
- パブロは、少しだけ未来に時間を回した
- ブルーノは、すべてを今に使った
このわずかな配分の違いが、
長い時間をかけて効いてきます。
これは、
- 毎回ゼロから考えるか
- 一度考えたことを残すか
- その場限りで終わらせるか
- 後で使える形に整えるか
という違いに近い。
AIやNotionの活用も、
この延長線上にあります。
魔法のように人生を変えるものではなく、
「考え直す回数を減らすための道具」です。
完成しなくても、意味はある
多くの人が不安になるのは、
「まだ完成していない」状態です。
- 使いこなせていない
- 効率が上がった実感がない
- 正解が見えない
しかし、この物語が示しているのは、
完成していない時間そのものが、
すでに方向性を持っているという点です。
パブロのパイプラインは、
掘り始めた瞬間から
「未来に向かう線」になっていました。
同じように、
- 思考を記録し始めた
- 判断の理由を書き残した
- AIに任せられる部分を探し始めた
それらは、
まだ水が流れていなくても、
確実に地面の下でつながり始めています。
まとめ:途中にいる自分を、急かさない
このKUNISHIGE Lab版の物語が伝えたいのは、
「早く完成させよう」という話ではありません。
- 今はブルーノ的な時間が多くてもいい
- ほんの少し、パブロ的な時間が混ざればいい
- 完成を焦らなくていい
途中を生きている時間は、無駄ではない。
今日、
5分だけでも
「未来の自分の負担を減らす行為」をしたなら、
それはもう、立派なパイプラインの一部です。
静かに、
見えないところで水が流れ始める。
KUNISHIGE Labは、
その時間を生きている人のそばに立つ場所です。
※ この図は、「途中にいる時間」を、構造として整理したものです。