変化の予兆を見逃さないために、記録という仕組みを持つ

―― 『チーズはどこへ消えた?』をNotionの「観測」に置き換えて読む

※本記事は物語の展開に触れる部分があります。未読の方はご注意ください。


変化が起きたあとで、
「もっと早く気づけたはずだった」と感じることがあります。

仕事でも学びでも人間関係でも、
突然崩れたように見えて、
実は前から小さく揺れていた。

『チーズはどこへ消えた?』は、
変化への向き合い方を寓話で描いた一冊です。

米国では1998年に出版され、
日本語版は2000年11月に登場しました。

発売後に大きく広まり、
日本では累計400万部、
全世界では累計2800万部超とも言われるほど、
長く読まれてきた本です。

ただ、この本を
「変化に適応しよう」という気合いの話として読むと、
現代の読者には重く響くことがあります。

この記事では、物語を
「観測と記録」の視点に置き換えて整理します。

変化に勝つ話ではなく、
変化の前に“気づける自分”をつくる話としてまとめます。

『チーズはどこへ消えた?』を「観測」の寓話として読む

物語には、2匹のネズミ(スニッフ/スカリー)と、
2人の小人(ヘム/ホー)が登場します。

彼らは迷路の中で
「チーズステーションC」に大量のチーズを見つけ、
満ち足りた生活を送ります。

ところが、ある日突然チーズが消えます。

ネズミは動き出し、
小人は戸惑い、抵抗し、
やがて一部が適応していく。

ここで注目したいのは、
「チーズが消えた」という事件そのものよりも、
その前段にある示唆です。

チーズは“突然”消えたように見えて、
実は「少しずつ減っていた」という読み方ができる。

つまり本書は、変化への根性論というより、
反応の型の違いを見せる話として読めます。

同じ現実に直面しながらも、
4者の動き方は分かれます。

2匹のネズミ(スニッフ/スカリー)は、
状況を受け入れて迷路へ出ていきます。

スニッフは変化の匂いを嗅ぎ分け、
スカリーは見つけたらすぐ動く。

いずれも「戻るのを待つ」より先に、
探索へ切り替えていきます。

一方で、2人の小人(ヘム/ホー)は、
抵抗や戸惑いが前に出ます。

ヘムは「元に戻るはずだ」という気持ちが強く、
ホーは恐怖を抱えながらも、
学びながら少しずつ迷路へ踏み出していきます。

ここで焦点にしたいのは、誰が正しいかではありません。

変化の前に「匂い」を拾えるか。
そして匂いを拾ったあと、
抵抗にとどまるのか、
探索に切り替えるのか。

この差が、あとから大きく効いてきます。

変化は「起きたあと」より「起きる前」に扱うほうが優しい

変化に追いつけないとき、
人は自分を責めやすいです。

でも現実には、
変化のスピードが上がっているだけ、
という場面もあります。

ここで必要なのは、速く走ることよりも、早く気づくことです。

早く気づければ、
選べる行動が増えます。

『チーズはどこへ消えた?』を
「観測」の視点で読むと、
結論はひとつに収束します。

「変化に備える」とは、
未来を当てることではなく、
いまの揺れを見つけることです。

揺れは、派手な事件としてではなく、
日常の中の“摩擦”として現れます。

だからこそ、気づいたときに
消えない形で残しておく価値があります。

Notionに「観測ログ(ニュース・違和感・日々の変化)」を貯める

ここで言いたいのは、
予兆を当てにいくことではありません。

その日その日の「小さな変化」を、
消えない形で残しておくことです。

記録している瞬間には、
それが予兆だと感じないことも多いです。

でも後から振り返ったときに、
「あの頃から変わっていた」と気づく。

予兆は、そうやって立ち上がってくるものだと
私は考えています。

入れるものは、日記の延長で構いません。

ニュースで気になったこと。
世の中の空気の変化。
説明しづらい違和感。

あるいは、自分の仕事や生活の中で起きた、
些細な“引っかかり”。

ポイントは、最初から整理しないことです。

分類やタグ付けは、
必要になったときに足せば十分です。

まずは「入れる」を優先します。

たとえば、こんな粒度で足ります。

  • ある業界のルール変更が続いている(理由はまだ分からない)
  • 同じニュースが別の角度で何度も出てくる
  • 周りの会話の論点が、去年と少しずつ変わっている気がする
  • 以前は気にならなかった言葉に、急に引っかかるようになった
  • うまくいっているのに、手応えが薄い日が増えた

ここで大事なのは、結論を急がないことです。

スニッフの役割が「正解を出す」ではなく
「匂いを拾う」だったように、
まずは拾う。

観測ログも同じで、
まずは拾うことが土台になります。

「貯まっている」こと自体が、気づきを生む

私の運用では、EvernoteからNotionに情報を移したこともあり、
10年以上の記録がNotionに溜まっています。

長く溜まったログを見返すと、
変化に気づけないまま過ごしてしまう人が多い、
という現実にも気づかされます。

一方で、同じログの中から
「この時点でもう兆しが出ていた」と、
後から分かることもあります。

この差は、才能というより
「振り返れる材料があるかどうか」に近い。

私はそう捉えています。

だからこそ、観測ログは“未来予測”の道具ではなく、
後から自分を助けるための資産になります。

Notionの強みは「期間で引っ張り出せる」ことにある

Notionのデータベースに入れておくと、後から強いです。

特に、期間を指定して引っ張り出せる。

たとえば、直近1年の記録をまとめて眺める。

あるいは「去年の同じ時期」と並べて見る。

そうすると、自分の感覚が“その場の気分”ではなく、
時間の中の変化として見えてきます。

変化に備えるとは、未来を当てることではありません。

過去の観測を手がかりに、
「いま何が動いているか」を捉え直せる状態をつくることです。

運用ルールは「続く形」だけにする

続かなければ、資産になりません。

なのでルールは増やしません。

  • 1件は短く(1〜2行でもOK)
  • 書けない日は飛ばす(空白を責めない)
  • 月1回だけ、期間指定で眺める(見返すだけで十分)

見返すときは、出来事の正しさよりも、
「自分が何に反応していたか」を見ます。

そこに、自分の迷路の地図が残ります。

変化の予兆を見逃さないために、日常の違和感をNotionに記録する「観測」のすすめを表した図です。

※ 変化の予兆を見逃さないために、日常の違和感をNotionに記録する「観測」のすすめを表した図です。


AIは「答え」ではなく「違和感の言語化」に使う

ここは補助の話です。


AIを、正解を出す道具にしない。


観測ログを見返したとき、
言葉にしづらい違和感だけをAIに整えてもらう。


そういう使い方が合います。


たとえば、こんな問いにします。


  • 「このログから、共通する“変わり始めている点”を3つだけ言語化してください」
  • 「不安の正体を、失いたくないもの/守りたいものに分けて整理してください」
  • 「いまの私が取れる“最小の一歩”を、選択肢として5つ挙げてください(決めるのは私)」

判断は、こちらに残します。


AIは、迷路の壁に
“読みやすい文字”を書いてくれる存在として使う。


そのくらいの距離感が、
依存を生まず、継続もしやすいと考えています。


まとめ

『チーズはどこへ消えた?』を、
変化への根性論として読む必要はありません。


日々の記録は、その瞬間には予兆に見えなくても、
後から振り返ったときに兆しとして立ち上がります。


今日できる小さな一歩は、これだけです。


Notionに
「観測ログ(ニュース・違和感・日々の変化)」を1つ作り、
1週間だけ気になったことを3つ書く。


良し悪しは判断せず、短く残す。


変化を止めることは難しいです。


でも、変化に飲まれないための「観測の習慣」は、
少しずつ育てられます。




【参考書誌】
『チーズはどこへ消えた?』スペンサー・ジョンソン 著
原題:Who Moved My Cheese?(1998年)
日本語版:扶桑社(2000年11月刊)

國重公秀

飲食業界で31年、現場から役員までを経験し、売上16億円から300億円への企業成長を牽引。現在はその経営視点と最新技術を掛け合わせ、「AI×Notion」に特化した生成AIコンサルタントとして活動しています。

中小企業や飲食店オーナー様の業務自動化と収益化を支援しつつ、自身も「1日3時間の労働で安定収益を上げる」ライフスタイルを実践中。

(James Skinner氏に師事(AI Super Human)/プロンプトスクール飛翔 元公認管理人/東大「AI経営講座」修了・生成AIパスポート 他)

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