AIツール選びで迷ったとき、最初に戻る問い
―― 「どんな家を建てたいか」から逆算して、完成品を増やすための整理
新しいAIツールを触った日は、たしかに充実します。
できることが増える感覚もあります。
でも、少し時間が経つとこう感じることがあります。
- ツールは触ったのに、完成品が増えていない
- 結局、自分は何を作りたいのかが曖昧になってくる
AIが進化するほど、こうした迷いは起きやすくなります。
この記事では、ツール選びで迷ったときに立ち戻るための視点として、
「完成品(ゴール)から逆算する」考え方を整理します。
AIツールは増えるほど「道具選び」が終わらなくなる
AIツールが次々に登場して、
いろんなことができるようになりました。
- 1〜3ヶ月かけて学んだプロンプトが、一瞬で形になる
- 時間をかけて作っていた資料も、短時間で作成できる
- アプリも、言葉で指示するだけでそれなりのレベルが作れる
この環境では、「どのツールが最強か」を探す行為が
自然に発生します。
ただ、そこで止まると、
完成品が増えにくくなります。
「ノコギリ比較」だけでは家は建たない
AIツールを道具として見ると分かりやすいです。
道具の比較に熱中している状態は、たとえば大工さんが、
「こっちのノコギリがよく切れる」
「このカンナの方が薄く削れる」
と言い続けている状態に似ています。
道具の差がゼロとは言いません。
でも、多少の差よりも大事なのは、
「家を建てること」です。
大工さんなら、家を作って販売し、売上を得る。
そしてノコギリ代やカンナ代を回収する。
道具は、完成品のために存在します。
AIツールは「完成品」を決めてくれない
AIツールは、作業を速くしたり、
平均点の成果物を作ったりできます。
しかし、AIツールが「完成品というゴール」を
作ってくれるわけではありません。
完成品は、人間が指し示すものです。
完成品の例は、売上につながる商品だけではありません。
たとえば次のような「形」も、完成品になり得ます。
- 社内を動かす提案書、意思決定のための資料
- 顧客に届く営業資料、説明動画、導入事例
- 読者に残る記事、学習ノート、発信のシリーズ
- チームで再利用できるテンプレート、業務フロー
ここが曖昧なままだと、ツールは永遠に
「試す対象」のまま残ります。
「黒澤明監督が横にいる」時代に問われること
AIの進化は激しく、
人間のレベルを超えるものが作り出されようとしています。
ただし、主役は人間であり、指示を出すのも人間です。
動画作りを例にすると、
横に黒澤明監督がいるようなものです。
ここで問われるのは、ツールの操作よりも、
「どんな映像にしたいか」を具体的に言えるかどうかです。
たとえば、次のような指示が出せるか。
- 誰に向けた動画で、見終わった後に何を感じてほしいか
- 尺はどれくらいで、どんなテンポにするか
- 強調したいポイントと、逆に入れない要素(禁止事項)は何か
ツールが強くなるほど、
「何を作るか」「何を避けるか」が価値になります。
道具の使い方より、その分野の「本質」を理解する
ツールの使い方は、あとから追いつきます。
一方で、その分野の本質理解がないままAIを使うと、
平均的な生成物の中で埋もれやすくなります。
「それっぽいけれど魅力のないもの」を
作ってしまいやすい、ということです。
だから私は、道具の操作より、
カテゴリや業界の前提知識を少し押さえておく方が、結果的に迷いが減ると考えています。
もちろん入口として、専門用語を覚える段階はあります。
ただし専門用語はゴールではなく、
本質に触れるための取っ手です。
ツール選びは「完成品を整理した後」にする
順番を入れ替えるだけで、迷いは減ります。
- どんな完成品を作りたいのかを整理する
- その完成品の品質を決める要素(判断軸)を言語化する
- その上で、道具としてAIツールを選ぶ
完成品が見えてくると、ツールは「夢のカタログ」ではなく、
必要な部品を揃える売り場になります。
「消耗する時間」と「蓄積する時間」を分けて考える
今は大きな変換点です。
時間が経てばAIが簡単にやってくれる作業も増えていきます。
ここで重要なのは、作業手順を覚え込むことではなく、
作業の本質を理解することです。
- なぜその作業が必要なのか
- 何が品質を決めているのか
- 何を満たせば完成と言えるのか
この理解はツールが変わっても残りやすい、と私は考えています。
つまり「蓄積する時間」になりやすい、ということです。
「消耗する時間」と「蓄積する時間」の整理は、
以前の記事でも扱っています。
ツールに時間を吸われやすい人ほど、
この区別が判断の軸になります。
必要に応じて参照してください。
【時間の使い方を「AIの進化」を前提に考える】
https://www.aixnotion.com/blog/time-use-ai-evolution
まとめ:道具を選ぶ前に、家の設計図を描く
AIツールが増えるほど、道具選びは楽しくなります。
それ自体は自然なことです。
ただ、AIツールは完成品を決めてくれません。
完成品というゴールは、人間が指し示すものです。
だからこそ、先に「どんな家を建てるのか」を考える。
その上で、必要な道具としてAIを選ぶ。
これは私にとって、ツールに振り回されにくくするための基本姿勢になっています。
Next Action(小さな一歩)
メモに1行だけ書いてみてください。
「私が増やしたい完成品は、何か?」
言葉が荒くても構いません。
設計図の最初の線が引けると、ツール選びは静かになります。