AI時代のネット詐欺と、判断を急がないための思考の置き方

―― 被害に遭わないために、AIとどう距離を取るか

ここ数年、
ネット詐欺の被害件数が増えている、という話を
目にする機会が増えました。


警察や消費者センターの発表を見ても、
被害の内容は年々多様化し、
金額も決して小さくありません。


その背景の一つとして、
AIの登場が影響していると
言われるようになってきました。


ただし、
これは「AIが悪い」という話ではありません。


問題は、
これまで人間が頼りにしてきた直感だけでは、
判断が難しくなってきている、という点です。


この記事では、
ネット詐欺を見抜く方法ではなく、
判断を急がないための視点を整理します。


そして後半では、
私自身が行っている
AIを使った「事前に止まるための運用」についても
触れます。


なぜネット詐欺は増えていると言われているのか

ネット詐欺そのものは、
昔から存在していました。


ただ、近年は
次のような変化が起きています。


  • 詐欺メールやメッセージの件数が増えている
  • 文章や表現が以前より自然になっている
  • 個人に合わせた内容が使われるようになっている

これらは、
少人数でも大量の文章を作れるようになった、
という技術的な変化と
無関係ではありません。


AIによって、
文章を考える手間が
大きく下がりました。


その結果、
「日本語が不自然だから気づけた」
という従来の見分け方が、
通用しにくくなっています。


AIは善でも悪でもない

ここで整理しておきたいのは、
AIの位置づけです。


私はこの関係を、
ウイルスとワクチン、
警察と泥棒の関係に
近いものだと捉えています。


AIは、
良い方向に使う人もいれば、
悪い方向に使う人もいます。


それ自体は、
どんな技術にも
共通する構図です。


問題は、
AIで作られた情報に対して、
人間の直感だけで
向き合おうとすることなのかもしれません。


「怪しいかどうか」を即断しないためのチェック視点

ここから整理するのは、
詐欺を見抜くための
テクニックではありません。


判断を一度保留するための視点です。


今、急がされていないか

ネット詐欺の多くは、
内容そのものよりも、
時間の圧力を使います。


  • 今すぐ
  • 至急
  • 本日中

こうした言葉が含まれていたら、
真偽の判断は
後回しで構いません。


急がされている状態そのものが、
警戒すべきサインです。


感情を動かされていないか

次に確認したいのは、
文章ではなく、
自分の状態です。


  • 焦っていないか
  • 不安になっていないか
  • 得を逃したくないと思っていないか

詐欺は、
論理より先に
感情に触れてきます。


内容が正しいかどうかより、
落ち着いて読めているかを
確認する方が、
有効な場面があります。


ここまでの内容を、
一度「全体像」として
整理したものが、
次のグラレコです。


※ AI時代のネット詐欺に、判断を急がず向き合うための全体像を示した図です。


判断を急がせる構造、
そこから一段止まるための視点、
そして私が行っている
AIの使い方を、
一枚にまとめています。


文章で追うのが
少し重く感じた場合は、
ここで立ち止まって、
眺めるだけでも構いません。


私自身、危うく引っかかりそうになった経験

あるとき、
「アメリカン・エキスプレスのポイントが
まもなく大量に失効する」
という案内を見ました。


ちょうど忙しい時期で、
「これはまずい」と焦りかけ、
そのままリンクを
押しそうになりました。


記載されていたポイント数が、
自分の保有ポイントと
かなり近い数字だったこともあり、
強い錯覚を覚えたのを
覚えています。


念のため、
リンクは踏まずに
スクリーンショットを取り、
AIを使って
情報を整理していったところ、
公式情報とは異なる点が
いくつも見つかりました。


結果的に、
その案内は
偽物でした。


この経験から、

慌てているときは、
判断材料がそろっていても誤る

ということを
強く感じました。


私が行っている、事前に止まるためのAIの使い方

ここからは、
私個人の運用例です。


怪しいかもしれない
メールやメッセージが届いたとき、
私はリンクを
クリックしません。


代わりに、
画面をスクリーンショットで保存し、
それを
「詐欺かどうかを整理する目的専用」に
カスタマイズしたAIに
見せています。


これは、
ChatGPTのGPTでも、
GeminiのGemでも
構いません。


重要なのは、

どのAIかではなく、
事前に用途を限定して整えているか

という点です。


なぜ専用に整えたAIを使うのか

その理由は、
判断を速くするためでは
ありません。


  • 危険点を洗い出す
  • 見落としを言語化する
  • 判断を一段止める

この役割だけを担わせることで、
AIを「決断者」に
しないためです。


AIに判断を
丸投げするのではなく、
冷静な第三者として置く。


それが、
私の中での
AIとの距離感です。


なぜスクリーンショットなのか

  • クリックしない
  • 開かない
  • 入力しない

行動を完全に止めた状態で、
内容を確認できます。


これは、
人間の直感を捨てる行為ではなく、
直感を補助する使い方だと
考えています。


まとめ:判断を急がなくていいという選択肢

ネット詐欺を、
完全になくすことは
できません。


そして、
完全に見抜ける必要も
ありません。


  • 判断を急がない
  • 一人で決めない
  • 行動の前に止まれる

この状態を作ることが、
被害を減らすための
現実的な方法です。


AIは、
そのための
一つの補助輪になり得ます。

國重公秀

飲食業界で31年、現場から役員までを経験し、売上16億円から300億円への企業成長を牽引。現在はその経営視点と最新技術を掛け合わせ、「AI×Notion」に特化した生成AIコンサルタントとして活動しています。

中小企業や飲食店オーナー様の業務自動化と収益化を支援しつつ、自身も「1日3時間の労働で安定収益を上げる」ライフスタイルを実践中。

(James Skinner氏に師事(AI Super Human)/プロンプトスクール飛翔 元公認管理人/東大「AI経営講座」修了・生成AIパスポート 他)

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