課題が「見えない」ことが最大のリスクになる

―― AI主導社会で最初に鍛えるべき 「課題発見→見立て→選定」の思考

課題が「見えない」ことが最大のリスクになるのアイキャッチ

AIが一般的に世の中に登場してから、
技術の進化は「速い」と言うだけでは足りないほど、
加速して見える局面が増えてきました。


気になって記事を保存して、
あとで見返すつもりが、
保存したまま手がつかない記事が増えていく。


「結局、自分は何を整理すればいいんだろう」
そんな感覚だけが残ることがあります。


この変化の速さの前では、
これまでの延長の思考だけだと、
変化を捉えにくいと感じる場面が
増えるかもしれません。


そのとき人間側が担う比重は、
少しずつ「答えを出す」より手前の部分に
寄っていく可能性があります。


つまり、
何を問題として扱うのか。
何を課題として定義するのか。


その起点になるのが「課題設定力」だと、
私は考えています。


ただし、ここで言う課題設定力は、
「困った課題が出てきたから設定する」
という話だけではありません。


むしろ厄介なのは、
うまく言葉にできない違和感のまま、
じわじわ進んでしまう変化です。


本記事(3部作の第1話)では、
課題設定力を
「課題発見 → 未来の見立て(予測) → 課題選定」
という流れで整理します。


最後に、今日から無理なく始められる
小さなNext Actionも置いておきます。


AI主導社会で重要な「課題設定力(発見・見立て・選定)」の全体像と循環プロセス、および具体的なアクションを示す図解。

※ AI主導社会で重要な「課題設定力(発見・見立て・選定)」の全体像と循環プロセス、および具体的なアクションを示す図解。


この3部作で扱う全体像

このシリーズでは、
AIと人間の役割を考えるうえで、
「扱う力」を3つに分けて書いていきます。


  1. 課題設定力(第1話)
  2. ディレクション能力(第2話)
  3. 成果物の評価および責任(第3話)

順番には意味があります。
課題が定まらなければ、
AIに何を任せるかも定まりにくいからです。


だから第1話では、
いちばん手前の「課題設定力」から始めます。


課題設定力は「発見」と「選定」の統合である

私が考える課題設定力は、
次の2つを統合した力です。


  • 課題発見力:現状を見て、
    「問題点や改善の機会」を自ら見つける
  • 課題選定力:複数の課題から、
    重要度や影響を見て優先順位をつける

ここで強調したいのは、
後者(選定)だけが課題設定ではない、
という点です。


困りごとが「はっきりした形」で出てくるなら、
私たちは対処できます。


でも、変化が速い環境では、
「困りごと」として表面化する前に、
違和感の段階で拾えるかどうかが
差になりやすい。


だから、まずは課題発見力から整理します。


漫画で全体の流れを先に掴む

ここまでの話を、
一度「場面」で捉えておくと、
読み進める負担が減ります。


AI主導社会で重要な「課題設定力(発見・見立て・選定)」の全体像と循環プロセス、および具体的なアクションを示す図解。

※ AI主導社会で重要な「課題設定力(発見・見立て・選定)」の全体像と循環プロセス、および具体的なアクションを示す図解。


課題発見力は「アンテナの質」で決まりやすい

課題発見力とは、
現状を客観的に見て、
目標と現状の間にある「ズレ」を捉える力です。


ただ、現代は情報が多すぎます。
アンテナを張ると言っても、
何でも拾えばいいわけではありません。


ここで私が重視したいのは、
「一次情報」と「体験」に寄せていくことです。


  • 一次情報収集
  • 自らの体験による知見

この2つがあると、
情報に触れたときに
「自分の目線で確かめる」軸が残ります。


一次情報に寄せると、主導権を手放しにくくなる

情報には、どうしても偏りが生まれます。
誰かが編集し、誰かが要約し、
そこに意図が混ざることもあります。


だからこそ、私が先に置きたいのは
「自らの体験による知見」です。


体験があると、情報に触れたときに
何を確かめればいいかが
具体的になります。


その補強として、可能な範囲で
一次情報(元データ、原文、現場の観察、実測)に
近づく。


また、有料情報なども含めて
「一次情報に近い形の情報」を持つ。


そのうえで、
オールドメディアやネットの情報に触れる。


この順序にすると、
情報が多い環境でも、
自分の判断の主導権を
手放しにくくなります。


スポンサー等があるメディアでは、
構造上、語られやすい論点と
語られにくい論点が生まれる可能性があります。


ここは善悪の話ではなく、
「そうなり得る構造」を前提として織り込む、
という整理です。


未来の見立てがあると「兆し」を拾いやすくなる

課題発見は、
現状の観察だけで完結しません。


なぜなら、
今は小さな違和感でも、
技術環境が変わると
一気に拡大することがあるからです。


月ごとの変化は小さく見えるのに、
半年後に振り返ると、
別の景色になっている。


技術の変化は、
そういう形で効いてくることがあります。


そこで必要になるのが、
未来の見立て(将来予測)を含む視点です。


ここで言う未来の見立てとは、
当てにいく予言ではありません。


「変化が大きく起きるかもしれない」前提で、
見落としやすい兆しを拾う態度です。


あなたが挙げていた要素で言えば、
次のような感覚に近いです。


  • フルモデルチェンジを前提にする
  • 過去の成功体験を捨て、自己変革できる
  • 技術進化のスピードが速く、
    昨日の成功が今日の足かせになる
  • 線形的思考では追いつけない
  • 線形的成長が、AIなどにより
    指数関数的成長になる

ここで一度、言葉を揃えます。


私たちは本能的に、
「昨日が今日と同じだったから、
明日も同じだろう」と見積もりがちです。
この見積もりの癖を、
ここでは「線形思考」と呼びます。


けれど技術の進化は、
「1が2になり、2が4になり、4が8…」のように、
倍々で伸びる局面があります。
この伸び方を、
ここでは「指数関数的成長」と呼びます。


つまり、
技術が指数関数的に進化しているのに、
人間側が線形の感覚で見積もってしまう。


このギャップが、
課題の「見えにくさ」を増やします。


だからこそ、
アンテナ(課題発見)に
未来の見立て(将来予測)を重ねておく。


それが、
「課題として扱うべき兆し」を拾う助けになります。


課題選定は「全部を同時に扱えない」前提から始まる

課題を発見できるようになると、
次に困るのは、課題が増えすぎることです。


ここで必要になるのが、課題選定力です。


課題選定力とは、
発見された複数の課題の中から、
重要度、緊急性、解決による影響などを評価して
優先順位をつけ、
「解決すべき課題」を定義する力です。


ポイントは、
「正しい課題は一つ」と決めつけないことです。


環境や目的が違えば、
選ぶべき課題も変わります。


だから私は、課題選定を
「自分の前提を明示して、優先順位をつける作業」
として扱っています。


ここまでをまとめると「課題設定力」になる

ここまでの流れを、言葉にするとこうです。


  • アンテナを張り、一次情報と体験で
    課題の兆しを拾う(課題発見)
  • 線形思考の癖を自覚し、指数関数の変化を織り込んで
    見立てる(未来の見立て)
  • 複数の課題から、前提を明示して
    優先順位をつける(課題選定)

この「課題発見」と「課題選定」を統合して、
私は「課題設定力」と呼びます。


第1話では、
ここまでをいったんの整理として置きます。


発見・見立て・選定を、アイコンと短文で整理した図

※ 発見・見立て・選定を、漫画と短文で整理した図


Next Action:今日の学びを「課題の兆し」に変換して残す

未来を当てにいく必要はありません。


ただ、
「いまの違和感」を問いの形で残しておくと、
後から意味を持ち始めることがあります。


大きなことをやろうとしなくて大丈夫です。
まずは、今日触れた情報を
「課題の兆し」として1行にして残します。


Notionなどに、次の型でメモします。


  • いま起きている変化:____
  • 気になったズレ(違和感):____
  • もし加速したら困ること:____
  • いま選ぶなら優先課題は?:____

答えを出し切る必要はありません。
「問いの形」で残っていれば十分です。


次回(第2話)では、
この「課題」が定まったあとに必要になる、
複数のAIを使い分けて指示し、
全体を統合するディレクション能力を扱います。

國重公秀

飲食業界で31年、現場から役員までを経験し、売上16億円から300億円への企業成長を牽引。現在はその経営視点と最新技術を掛け合わせ、「AI×Notion」に特化した生成AIコンサルタントとして活動しています。

中小企業や飲食店オーナー様の業務自動化と収益化を支援しつつ、自身も「1日3時間の労働で安定収益を上げる」ライフスタイルを実践中。

(James Skinner氏に師事(AI Super Human)/プロンプトスクール飛翔 元公認管理人/東大「AI経営講座」修了・生成AIパスポート 他)

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