コンテキストとプロンプトの違い

―― AIの「ズレ」を減らすための、材料と指示の整理

コンテキストとプロンプトの違いをイメージする画像

AIを使っていて、
「言ったことと違う」
「話が噛み合わない」
と感じることがあります。


そのとき、プロンプトの書き方を直そうとして、
言い回しを変えたり、条件を増やしたりして、
疲れてしまう人は少なくありません。


ですが多くの場合、原因は別のところにあります。


プロンプトの書き方が悪いというより、
コンテキスト(AIが判断するための材料――
目的、固有名詞、背景情報など)が欠けていることが、
原因になりやすいです。


この記事では、
AIの出力が意図から外れる原因を、
「材料」と「指示」に分けて見分けられるようにします。
そのうえで、Notion運用に落とし込める最小セットまで、
整理します。


あわせて、NotionがEmbraを買収した話にも触れます。
「コンテキスト」という考え方が、
なぜプロダクトの中心に置かれ始めているのか。
その背景を、読者が自分の環境に照らして考えられる形で、
置いておきます。


用語の整理:コンテキストとプロンプトは何が違うのか

まずは結論から整理します。


  • コンテキスト:AIが「何を前提に・どう判断するか」を決める材料(背景情報・固有名詞・目的など)
  • プロンプト:AIに「何を・どう出してほしいか」を指示する文章(やること・出力形式・制約など)

ここで大切なのは、
「プロンプトが長いほど賢い」ではなく、
AIが判断できるだけの材料が揃っているか、という視点です。


私はこの違いを、次のように覚えています。


  • コンテキスト=材料(Resource)
  • プロンプト=作業指示(Action)

材料が揃っていないまま作業指示だけを磨くと、
形は整っているのに中身が意図から外れる、
という状態になりやすいです。


料理にたとえると、コンテキストとプロンプトはこう分けられる

コンテキストとプロンプトの関係は、料理に似ています。
材料(コンテキスト)が揃ってはじめて、
作り方(プロンプト)が意味を持ちます。


コンテキスト=材料(何を使うか/どんな前提で作るか)
例)食材、人数、アレルギー、辛さの好み、予算、
作る目的(作り置き/来客)


プロンプト=作り方の指示(どう作るか/どんな形で仕上げるか)
例)手順、加熱時間、工程の順番、
「10分で」「洗い物少なめ」「箇条書きで」


作り方だけが完璧でも、
材料が違えば別の料理になります。


AIも同じで、
指示文(プロンプト)をどれだけ磨いても、
判断材料(コンテキスト)が不足していると、
期待と違う出力が起きやすくなります。


そしてNotionで考えるなら、
材料(コンテキスト)はページやDBにストックし、
作り方(プロンプト)はその都度短く添える、
という分け方がしやすいです。


役割の違い:コンテキストは「材料」、プロンプトは「作業指示」

コンテキストは、AIが判断するときの参照材料です。
「事情説明の束」と言い換えると、少し具体になります。


たとえば、会議の議事録・要約を作る場面なら、
こういう情報がコンテキストになります。


  • 参加者名/役割(誰が誰か)
  • 社内用語/略語の意味(言葉の辞書)
  • 会議の目的・ゴール(何を決めるのか)
  • 背景(なぜ今この話をしているのか)
  • 対象読者(社内用/提出用など)
  • トーン(丁寧/簡潔など)

一方でプロンプトは、作業指示です。
AIに何をしてほしいか、
どういう形で出してほしいかを指定します。


  • 「要点を3行で」
  • 「決定事項→ToDo→懸念点の順で」
  • 「丁寧語で」
  • 「箇条書きで」

同じ文章でも、
材料と指示を分けて扱えるようになると、
運用が楽になりやすいです。


混同すると起きること:噛み違いの原因はだいたい2種類

ここを押さえると、修正の方向が迷いにくくなります。


噛み違いには、主に2種類あります。


1つ目は、「内容が噛み違う」問題です。
要約は出ているのに、重要な論点が抜けたり、
固有名詞が間違ったりする。


たとえば固有名詞が多い会議で、
部署名やプロジェクト名が崩れるなら、
まずは固有名詞リスト(コンテキスト)を足す、
と整理しやすいです。


2つ目は、「読みづらい」問題です。
内容は合っているのに、長くて把握できない。
順番がバラバラで使いにくい。


この場合は、作業指示不足(プロンプト不足)のことが多いです。


つまり、
「噛み違ったらプロンプトを直す」ではなく、
「材料か指示かを見分けて直す」へ切り替えるのが、
ポイントになります。


使い分けのコツ:最小セットは「噛み違いを潰してから、形を揃える」

運用として最も簡単なのは、順番を固定することです。


  • まずコンテキストで「噛み違い」を潰す(固有名詞・目的・読者/トーン)
  • 次にプロンプトで「形」を揃える(項目順・文字数・フォーマット)

この順番にすると、
プロンプトが“作文”になりにくいです。


プロンプトが長文化して疲れるのは、
本来コンテキスト側に置くべき材料まで、
毎回プロンプト側に詰め込んでしまうときです。


材料は「ストック」し、
指示は「その場で短く」する。
この分業ができると、
AIが“使い続けやすい道具”になっていきます。


Notion AIミーティングで効くコンテキスト:最初に入れるなら3点

Notionで議事録・要約を扱うなら、
最初に入れるコンテキストは多すぎない方が、
運用として定着します。
最初から完璧を目指すより、
「毎回入れる3点」を固定した方が、
結果的に噛み違いが減りやすくなります。


私なら、まずこの3点を最小セットにします。


  1. 固有名詞リスト(人名・役割・用語)
  2. 会議の目的とゴール(何を決める/何を出す)
  3. 出力トーン(社内用/提出用、丁寧/簡潔 など)

これだけでも、AIは「どう判断すべきか」を掴みやすくなります。


ここまでの話を、いったん一枚にまとめます。
図は「左=材料(コンテキスト)」「右=指示(プロンプト)」の順に見ると、
本文の流れとつながります。


AIの「ズレ」を減らすための、コンテキスト(材料)とプロンプト(指示)の整理術の図解

※ AIの「ズレ」を減らすための、コンテキスト(材料)とプロンプト(指示)の整理術の図解


図を見たうえで、
気になったところだけ本文に戻る、という読み方でも大丈夫です。
この図は、理解を固定するための“見取り図”として置いています。


なぜ今「コンテキスト」が重要視されるのか:Notion×Embraの事例

コンテキストの重要性を考える材料として、
ひとつ事例を挙げます。


2026年1月30日、
NotionによるEmbraの買収が、
Embraの共同創設者兼CEOであるZach Tratar氏によって、
公に発表されました。


この動きは、Notionが自社プラットフォームを、
「AIエージェントと人間の協業を促進するためのデータシステム」
として確立していく上で、
重要な一歩と位置づけられています。


ポイントは、機能追加というよりも、
AIが“判断できる材料”を扱う基盤そのものに、
踏み込んでいる点です。


Embraは3年をかけて、
「グラフコンテキストエンジン」を開発してきたとされ、
それを統合することで、NotionはAI機能、
特にコンテキスト理解能力を大幅に強化し、
より高度でパーソナライズされたAIワークスペースの実現を目指す。
そのように説明されています。


ここで重要なのは、
「プロンプトがうまい人が勝つ」という話ではなく、
AIが参照できるコンテキストを、
どう蓄積し、どう接続するかが中心に寄ってきていることです。


この流れが自分の仕事にどう影響するかは、
環境によって変わります。
ただ少なくとも、
コンテキストを“文章の飾り”ではなく、
“判断材料の設計”として捉える視点は、
長く使い回しやすいです。


関連:背景をもう少し深掘りしたい人へ

【プロンプトより、コンテキストが重要になる理由】
https://www.aixnotion.com/blog/prompt-versus-context-importance


まとめ:材料(コンテキスト)と指示(プロンプト)を分けると、AIは疲れにくくなる

この記事で整理したかったのは、次の2点です。


  • コンテキストは、AIの判断材料です。噛み違いを減らしやすくなります。
  • プロンプトは、AIの作業指示です。形を揃えます。

そして、Notion×Embraの説明からは、
コンテキストが“運用の小技”ではなく、
AI活用の中心に置かれ始めていることが読み取れます。


次の一歩(Next Action)としては、まず軽くて良いです。


この会議の目的は「◯◯を決めること」


余裕があれば、もう1行だけ添えます。


対象読者は「社内共有用」/トーンは「簡潔」


それだけでも、AIの出力は「それっぽい文章」から、
目的に沿った文章へ寄りやすくなります。
無理のない範囲で試せるところからで十分です。

國重公秀

飲食業界で31年、現場から役員までを経験し、売上16億円から300億円への企業成長を牽引。現在はその経営視点と最新技術を掛け合わせ、「AI×Notion」に特化した生成AIコンサルタントとして活動しています。

中小企業や飲食店オーナー様の業務自動化と収益化を支援しつつ、自身も「1日3時間の労働で安定収益を上げる」ライフスタイルを実践中。

(James Skinner氏に師事(AI Super Human)/プロンプトスクール飛翔 元公認管理人/東大「AI経営講座」修了・生成AIパスポート 他)

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