月20ドルで無限の優秀な部下が持てる時代

―― 問われるのは「2つの意思決定」

月20ドルで無限の優秀な部下が持てる時代 のアイキャッチ

生成AIが当たり前になり、
調査・要約・比較・叩き台づくりのような「知的な作業」を、
誰でも低コストで呼び出せるようになりました。


ある意味では、
月20ドルで有能な部下を持てる
という状況が、もう現実になっています。


ただし、この時代に問われる意思決定は、
ひとつではありません。


私は、少なくとも次の2つに分けて考えるのが、
いちばん整理しやすいと考えています。


  • AIに月20ドルを払って“使う”という意思決定
  • AIに“指示して”、判断の形をつくるという意思決定

この記事では、この2つだけに絞って、
話を組み立てます。


意思決定1:月20ドルを「高い」と感じて使わない判断

月20ドルという金額は、
人によって受け取り方が違います。


高いと感じる人もいれば、
安いと感じる人もいる。


ここで私が焦点にしたいのは、
「金額として高いか安いか」の結論そのものではありません。


金額の印象が先に立って、いったん止まってしまう
その構造のほうです。


いま最低賃金が全国で1,000円を超えている時代に、
月20ドルで、
作業量を大きく肩代わりしてくれる可能性がある道具を持てる。


この条件を前にして、
「高いからやめる」で固定してしまうのは、
選択肢として検討しておく価値が増えていきます。


もちろん、
誰にとっても月20ドルが軽いわけではありません。


だからこそ、
ここは“感覚”ではなく、
意思決定として一度だけ整理しておくと楽になります。


たとえば、こう考えます。


  • 1か月で、何回使うつもりか
  • 何の作業を任せたいのか
  • それが1回あたり何分の短縮になるか
  • 自分に戻ってくる価値は何か
    (時間、集中力、判断の精度、ストレスの軽減など)

この整理をしてから、
「今はやめる」「今は使う」を決めれば、
意思決定として納得しやすくなります。


ポイントは、
月20ドルを“サブスクの娯楽費”として見るか、
“知的労働力の確保”として見るかで、
見える景色が変わることです。


私の実例:似たAIに2つ課金している理由

私自身も、月額課金に迷いがなかったわけではありません。


実際、私はChatGPTとGeminiの両方に課金しています。
一般的には似た系統のAIなので、
どちらか一方でも良さそうに見えます。


それでも両方を使っているのは、
「同じように見えて、得意な場面が違う」と感じているからです。


たとえば私は、
アイディアを広げたいときや、
プロジェクト機能のように“文脈を効かせた”使い方をしたいときに、
ChatGPTを使うことが多いです。


一方でGeminiは、Googleの関連ツールとの連携が良く、
画像や動画の扱いも強いので、
そちらの用途で使っています。


LLMに2つ課金するのは、
もったいない気がする瞬間もあります。


ただ私の場合は、
叩き台がすぐ出るので、
着手の心理的ハードルが下がった。


ここが大きくて、
「月額」を迷う時間より、
前に進める回数が増えるほうを優先しています。


意思決定2:AIを「相棒」として、判断の形をつくる指示を出す

月20ドルを払って使うと決めたとしても、
それだけで成果が出るわけではありません。


ここで二つ目の意思決定が出てきます。


それは、
AIに「答え」を出させるのではなく、
意思決定のための形に整えると決めることです。


私はこれを、
「AIに指示できるプロンプト力」と呼びます。


前提として、
AIに渡すコンテキスト
(目的・制約・現状・前提)を用意することは大切です。


そのうえで最終的に差が出るのは、
出力を「意思決定」に近づける形で頼めるかどうかです。


ただし、ここで言う「指示」は、
上から命令するという意味ではありません。


AIの力を狭めないために、
何を確かめたいか、どんな形で出してほしいかを
先に共有する、という意味です。


たとえば、

  • 結論を急がず、まず「比較表」を一緒に作る
  • 賛成だけでなく「反論」も出してもらう
  • 一般論で終わらせず、「条件分岐」で整理する
  • 先に「前提の穴」がないか点検する

ここで起きているのは、
プロンプトの言い回しを磨くことではありません。


判断のための設計を置くことです。


「プロンプト不要論」と、短い一文の価値

最近は「プロンプトは不要だ」という声もあります。


私も、細かい指示を長文で書く必要は、
以前より減ってきたと感じています。


そのぶん重要になるのは、
コンテキストです。


目的、制約、前提、背景。
ここが薄いと、AIは賢いほど、
いくらでも“もっともらしい方向”に広がっていきます。


ただ、それでも私は、
「エッジの効いた短いプロンプト」は必要だと考えています。


短いのに強い。
曖昧さが少ない。
判断に直結する。


そういう一文は、
プロンプトの技術というより、
自分の信念や意思が、きちんと立っているかで決まります。


言い換えるなら、
良いプロンプトは、意思決定の“圧縮版”です。


AIが賢くなるほど、
選択肢は増えます。


だからこそ人間側には、
「どんな形で材料が揃えば決められるか」を
決める役割が残ります。

月20ドルの生成AI活用で問われる「2つの意思決定(課金・指示)」と具体的アクションをまとめた全体図。

※ 月20ドルの生成AI活用で問われる「2つの意思決定(課金・指示)」と具体的アクションをまとめた全体図。

2つの意思決定をつなぐ「最小の実践」

ここまでの話は、
結局こう繋がります。


月20ドルを払うかどうか。


払うなら、
その価値を回収できる形で、
AIに頼み方を設計できるか。


その最小単位は、
私は「判断軸」だと考えています。


判断軸が置けると、
AIとの会話が「相談」ではなく、
意思決定の準備に変わります。


だから今日の一歩は、
難しいプロンプトではなく、
これで十分です。


  1. いま決めたいテーマを1つだけ書く

  1. 判断軸を3つだけ置く
    (例:コスト/時間/リスク)

  1. AIには、比較表・反論・条件分岐・前提チェックの形で
    一緒に材料を揃えてもらう

  1. 最後に「今回は何を優先するか」を1行で書く

この1行が、
人間側の意思決定として残ります。


まとめ:問われるのは「使う」と「判断の形をつくる」の2つ

生成AIの時代は、
知的な労働力が低コストで手に入る時代です。


だからこそ、意思決定は2つに分かれます。


  • 月20ドルを“高い”で止めず、使うと決められるか
  • 使うなら、AIに“指示して”、判断の形をつくれるか

プロンプトの技巧よりも、
「何を決めたいか」
「決めるために何が必要か」
を先に置けるか。


ここが、静かに差になります。


焦らず、
小さく、
意思決定を自分の手に戻す。


その延長線上に、
AIを“消費”で終わらせず、
資産として積み上げていく道が残ります。

國重公秀

飲食業界で31年、現場から役員までを経験し、売上16億円から300億円への企業成長を牽引。現在はその経営視点と最新技術を掛け合わせ、「AI×Notion」に特化した生成AIコンサルタントとして活動しています。

中小企業や飲食店オーナー様の業務自動化と収益化を支援しつつ、自身も「1日3時間の労働で安定収益を上げる」ライフスタイルを実践中。

(James Skinner氏に師事(AI Super Human)/プロンプトスクール飛翔 元公認管理人/東大「AI経営講座」修了・生成AIパスポート 他)

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